シュガーレスでお願いします!
私と慶太は大水槽を一旦離れ、男の子を案内所に連れて行った。
係の人に館内放送をお願いすると、男の子の両親が慌てて名乗りを上げにやって来た。
「お姉ちゃん、バイバ~イ!!」
「バイバ~イ」
家族が見つかってすっかり泣き止んだ迷子の坊やを手を振って見送る。
男の子を挟むように、父親と母親が手を繋ぐ。その当たり前の家族の光景に、胸がきゅうっと締め付けられていく。
(子供は可愛いな……)
一翔くんが生まれた時も思ったけれど、子供はなんて尊いんだろう。
自分が子供を生むなんてまだ想像もつかないけれど、あんな風に親子で仲良く出かけられるっていいよな……。
「父さんが言ったこと、気にしてる?」
「え?」
私が親子を目で追っていることに気が付いた慶太は、途端に難しい顔になった。