シュガーレスでお願いします!
「あの人の早く孫の顔が見たいっていうのは、もう口癖みたいなものだから何も気にしなくていい」
慶太なりに気を遣ってくれているのだと思うけれど、私と意見が全く違っていて戸惑ってしまう。
「私は……子供が欲しいと思ってるよ?」
「比呂って本当に素直だよな。人の言うことなら何でも簡単に鵜吞みにする」
慶太は呆れたように、ふうっと息を吐いた。
私の頭の中にまっさきに遠藤さんと大輔さんの姿が頭に浮かんだ。
確かに私は彼らの助言を簡単に受け入れてしまったという前科持ちだ。
「騙されやすいってこと?」
「人が良いってことだよ。皆が好意で言っているって分かってるから、極力意見を取り入れようって努力してる。それだけ人を信じてるってこと」
それは、褒めているのか?
どちらかといえば、お人好しの私にお小言を言っているようにしか聞こえない。
「いつもはそれで良いけど、子供のことは別だ。他人に言われて決めるようなことじゃない」
多分、私が一時の感情に流されていやしないかと慶太なりに心配しているのだ。
人の親になるということは、生半可な覚悟では務まらない。
子供が生まれた後の、私自身の弁護士としてのキャリアのことだって考えなければならない。
しかし、それはさておき慶太にこれだけは言っておかなければならない。