シュガーレスでお願いします!
「慶太、私はお義父さんに言われたから子供が欲しいって言っているわけじゃない」
誰に指図されたわけでもなく、本当に心から子供が欲しいって思っている。
慶太と夫婦として過ごしたのはまだ3か月足らずだけど、この人と生涯を共にしたい、家族を育みたいという想いは変わらない。
慶太からの愛情は時に重たく、窮屈で、うっとおしくて、その上甘すぎて、胸やけするほど濃厚だけど、ひとたび気を抜けばハマってしまいそうな中毒性がある。
それが分かっているから私は“節度を持て”なんて言って、慶太を遠ざけようとしていたんだ。
……でも、既に手遅れなのかもしれない。
「それは……一時休戦ってことでいいの?」
ああ……慶太の顔がまともに見られない。
子供を作るには子供が出来るようなことをしなければならない。一時休戦が示すものはひとつしかない。
「うん……」
私は蚊の鳴くような小さな声で頷いたのだった。
前世の仲間がたくさん見守る中、私はまた命をひとつ紡ぐ決心をしたのだった。