シュガーレスでお願いします!
「じゃあ、先にシャワー浴びてくる」
「うん……」
水族館からホテルに戻ると、慶太は早速シャワーを浴びるべくバスルームに向かった。
私はその間、手持ち無沙汰になりベッドに腰かけ慶太の買ってくれたジンベイザメのキーホルダーを眺めていた。
(なんで……頷いてしまったんだろう……)
自分でもよく分からない。
あれほど意固地になって淡白でいいと言って、慶太を突っぱねていたのは私なのに。
自分に急に訪れた変化に動揺が隠せない。
昨夜は疲れていてすっかり寝入ってしまったけれど、一応結婚初夜ってことになるのかな?
長らく慶太と肌を合わせていないせいなのか、これまで何度も、慶太に抱かれてきたはずなのに、初めてのようにガチガチに緊張している。
心臓はバクバクと不穏な鼓動を刻み、鳥肌が止まらず肌をさする。
「お待たせ」
そう言ってシャワーを済ませた慶太が備え付けのバスローブを羽織ってバスルームから出てくる。
慌ててできたせいか、髪からポタポタと雫が垂れていく。肩に引っ掛けたタオルで髪を拭いながら、チラリと熱っぽい瞳が私を射抜く。
胸元がだらしくなく開いたバスローブ姿がベッドで見る慶太のしどけない寝間着姿に似ていてドギマギしてしまう。