シュガーレスでお願いします!
「わ、わわ、私もシャワー浴びてくる!!」
……おかしい。裸なんて見慣れていたはずなのに。
私はキーホルダーをバッグにしまうと慶太と交代でバスルームに入り、後ろ手にドアを閉めた。
心を落ち着かせるように頭からシャワーを被って、潮風を浴びてべたつく全身をくまなくボディーソープで洗い流す。
上から下まで洗い終えるとバスローブを羽織り、髪をドライヤーで乾かし、寝室に続く扉を開ける前に大きく深呼吸する。
寝室の様子を窺うように扉を少しずつあけると、慶太はベッドの端に足を組んで座ったその上に頬杖をついて、何かを考えこむようにして私を待っていた。
これから訪れるであろうめくるめく一夜を覚悟し、ゴクリと唾を飲み込む。
「比呂」
所在なげにバスルームの扉の前で突っ立っていると慶太が私の名を呼びベッドに誘う。
優しく手を引かれ、そのままポフンとマットレスに押し倒されると、顔の隣に両手をついてのしかかられる。
「やっぱりやめる?」
この期に及んでやめるか尋ねるなんて、ひとが悪い。
今、お預けを食らったら私は憤死してしまうかもしれない。
答えは最初からひとつしか用意されていない。
ぎゅっと目を瞑りながら頭を振る。
「やめないで……」
自分から抱いて欲しいと懇願するのは、顔から火が出るくらい恥ずかしかった。
こんなの初めてで、自分でもどうしたらいいか分からなくなる。
一刻も早くこの熱く火照った身体を静めて欲しい。