シュガーレスでお願いします!
「比呂~!!」
ドアの外から呼びかけられ、慶太の技巧に陶然としていた私は急に現実に引き戻された。
「お姉ちゃん……?」
先ほどまでシーツの波に沈んでいた慶太と私が茫然とドアに目を向けていると、ノックの音が一層激しくなる。
「ごめんね~。ちょっといいー?」
いいところだったのに邪魔されたと思ったのは私だけではない。
慶太ははだけたバスローブをそのままに、苛立ちを隠そうともせず頭をガシガシとかいていた。
(なんでこのタイミング~!!)
私は慌ててバスローブの袷をかき寄せると、ベッドから立ち上がり姿見の前で簡単に身支度を整えた。夫婦で何をしていたのか、一目瞭然では困る。
「どうしたの?」
ベッドの様子が見えないように少しだけドアを開けて、お姉ちゃんの用件を聞きだす。