シュガーレスでお願いします!
「次は私が出てみようか?」
遠藤さん以外の人間が電話をとったことで、別の反応があるかもしれない。
そう言っている傍から再び電話が鳴り、私は手直にあった受話器をとった。
「奥寺法律事務所です」
「死ね!!クソ女!!」
声を発するやいなや、あらぬ暴言を吐かれプツリと通話を切られて、私は静かに受話器を置いた。
無言電話と聞いていたが、随分とおしゃべりじゃないか?
『死ね』と言われて、とても心中穏やかではいられない。
どちらにせよ、これで通話相手に悪意があることがはっきりした。
「念のため、これからは録音しておこう」
ただの悪戯ならともかく、これ以上ひどくなるなら業務妨害罪も視野に含めて対応するべきだ。
私は香子先生とも相談しすべての電話に録音装置をとりつけ、相手の出方をじっくり待つことにした。
しかし、次の日事態は急展開を迎える。
事務所のポストに大量の嫌がらせの文書が投函されていたのである。