シュガーレスでお願いします!
「これは酷いな……」
たとえ真夏に雪が降ろうと、真冬に向日葵が咲いても、冷静さを失わないと言われている五十嵐先生が絶句し、憤りをあらわにしている。
長テーブルの上には、本日事務所のポストに投函されていた、嫌がらせの文書、そして隠し撮りと思われる私のスナップショットが数十枚広げられていた。
最初にこれを発見したのは、例によって遠藤さんだった。
受け口からはみ出すように無造作に突っ込まれた茶封筒の中身を確認すると、事務所にいた人間は急遽会議室に集められたのだった。
「犯人の狙いは私ですね……」
私は投函された写真を一枚手に取り、しげしげと眺めた。
『死ね』『今すぐ消えろ』という文書がパソコンで機械的に作成されているのに対し、写真の方はご丁寧なことに恨みを込めてひとつ残らずカッターで顔を切り刻まれていて、ちぐはぐな印象を受ける。