シュガーレスでお願いします!
「いや、絶対来ると思いますよ~」
上野先生は返信がくる前だというのに、なぜか自信満々で頷いていた。
「比呂先生、旦那さんにめちゃくちゃ愛されてますもん。俺、比呂先生が酔っぱらって帰れなくなった時に肩を貸したら、睨まれましたよ。ちゃんと誤解は解いておいてくださいよ?俺には遠藤さんっていう、れっきとした彼女候補が……」
「上野先生、それくらいでやめておいた方がいいですよ?」
私は見るに見かねて振り返るように、上野先生を目線で促した。
「うわっ!!」
ヒクヒクと頬を引きつらせながら背後に立っていた遠藤さんと目が合うと、上野先生は背中を大きくのけぞらせた。
「2番の面会室でクライアントがお待ちですよ、上野先生」
「はーい……」
上野先生からは先ほどの勢いがすっかり消え、そそくさと面会室に向かうのだった。
「上野先生ったら、ぺらぺらと口ばっかり回るんだから!!もう!!少しは比呂先生を見習うといいんだわ!!」
遠藤さんは腰に手を当て、息を荒くしてまくし立てた。事務所の中では大勢の人が聞き耳を立てているのに、遠藤さんを彼女候補と公言した上野先生はある意味勇者だ。