シュガーレスでお願いします!

「明日のごみ捨てと風呂掃除は慶太がやって。ついでにこのカレーも仕上げること」

「お安い御用さ、奥さん」

雑用を押しつけられたというのに慶太は嬉しそうにそう言うと、私を抱き上げ唇にキスをした。

落とされないように首にしがみつき、数日ぶりのキスに応えながら、そのまま寝室に運ばれる。

キスを繰り返されながらベッドに組み敷かれ、ルームウェアを脱がされる段になって急に我に返る。

「あ、エプロン……」

「何言ってんの?比呂ちゃん」

エプロンの紐を解こうと背中に手を回した私を慶太が真顔で制した。

「新婚夫婦はエプロンをしながらイチャイチャするものなんだよ?」

「……そういうものか?」

「そうそう」

そんなの誰からも聞いたことないけど……。

色恋ごとに疎いという自覚があるだけに、力強く頷く慶太に違うと真っ向から否定することができない。

……こういう時、弁護士バッチは少しも役に立たない。

学生の頃から弁護士になるべく勉学に励んでいた私にとって、恋愛はあくまで他人事。当事者となった今でもいまいちピンとこない。

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