シュガーレスでお願いします!
9.甘いものとの向き合い方
「比呂先生!!」
五十嵐先生はいきなり呼び出したにも関わらず、すぐに公園に駆けつけてくれた。
「この人をお願いします。私は夫を病院に連れて行きます!!」
五十嵐先生に簡単に事情を説明すると葛西さんの旦那さんの身柄を預け、私は慶太を連れてタクシーで夜間救急診療に駆け込んだ。
「慶太、着いたよ!!」
痛みをこらえるように歯を食いしばる慶太に腕を貸しながら、タクシーを降りて、受付を済ます。待合室には既に3人ほどが診察の順番を待っていた。
30分ほど経ったところで名前が呼ばれ診察室に入ると20代後半ぐらいの若い男性医師が問診票に目を通しながら待っていた。怪我をした状況を改めて慶太に確認し、傷口の様子をつぶさに観察していく。
診察してもらった結果、慶太の右腕の怪我は10針も縫う大怪我だった。
幸いなことに腱には以上がなく、傷口が塞がった後抜糸すれば元通りに動くと聞いて一安心した。
あと数センチでも傷が深かったらと思うとゾッとする。
もし右手が動かないなんてことになっていたら、慶太がどんなに止めようが、私はあの人を即座に警察に突き出していた。