シュガーレスでお願いします!
10.シュガーレスでお願いします!
「起きた?」
目を覚ますと、コックコートではなく私服に着替えた慶太がソファに寝そべる私を見守るように椅子に座っていた。
「ケーキを食べた後、具合が悪くなってそのまま寝ていたんだよ。覚えてる?」
私は横になったままうんと頷いた。
ケーキの名前を当てたあと、すっごく気持ち悪くなって立てなくなったんだ。カフェスペースのソファに横になったところまでは覚えていたが、どうやらそのまま眠ってしまったらしい。
「きっと食べなれないものを口にして、身体がびっくりしたんだろうな」
「そっか……」
大輔さんと清水さんの姿は既になく、閉店後のカフェスペースには私と慶太しかいなかった。
私が倒れた後、辞めると言い張っていた清水さんの処遇については一旦保留となったらしい。
私は身体を起こし慶太に背中をさすってもらいながら、ペットボトルの水を飲んだ。
水を飲んでひと心地つくと、慶太が神妙な顔で私に頭を垂れた。