シュガーレスでお願いします!
「どれでもいいから選べと言った人に、比呂が“どれでもよくない”って怒ってくれたこと、もの凄く嬉しかった。この人と結婚したら俺はきっと死ぬまでパティシエを続けていられるって思ったんだ」
「それで、プロポーズしてくれたの?」
ちょっと飛躍しすぎじゃない?
「逃がしたくないって必死だったんだよ……」
パティシエとして順風満帆なキャリアを積み上げている慶太でも、自信を失うことがあるのか。人というのは見かけによらないな。
素直に心の内をさらけ出してくれた慶太に応えるように、私も謝る。
「慶太、私の方こそゴメン。私はずっと理解できなかったんだ。ケーキも食べられない、面白みもない私がどうして慶太に好かれているのか分からなくて……」
慶太に甘く愛されれば愛されるほどに不安が徐々に広がっていき、やがてそれは拒絶反応に変わって行った。