シュガーレスでお願いします!

「比呂」

慶太は唇の端を上げ、蕩けそうな瞳で私を見下ろしていた。

ダイニングテーブルに手をついて、つまみ食いをするように私の唇をチョンっと掠めとっていく。

……手癖の悪い男だ。

そして、つまみ食いがいつしか本気モードに突入するのにあまり時間はかからなかった。

「夕飯の前にベッド行こ?」

「でも……」

「比呂……もう待てない……」

……本当に私はどうにかなってしまったんだろうか。

耳元で甘えるように囁かれるとどうしても抗えず、思わず“いいよ”と答えそうになったその時、お腹がぐ~と景気良く鳴った。

ムードもへったくれもなく激しく鳴るものだから、慶太の動きがしばし止まる。

よくぞ!!鳴ってくれた腹の虫!!

危うく二日続けて、夕飯を食べ損ねるところだった。

すっかり出鼻をくじかれてしまったが、腹時計のおかげで正気を取り戻した私はこの場を仕切り直すのだった。


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