シュガーレスでお願いします!
「私、結婚生活はもっと淡白でいいと思う」
慶太のことは好きだし、スキンシップだって嫌ではないけれど、何事もほどほどが良いというのもまた事実。
遠藤さんの言う通り、夫婦仲はスープの冷めない距離がベストだ。
「え、それ。本気?」
突然の提案に、慶太はぎょっと目を丸くして私を食い入るように見つめた。
「うん、本気。わかったらこれからは節度を持って接してくれるか?」
本気も本気。
最初から最後まで大真面目に話しているのが、この真剣な表情を見てわからないとでも言うのか。
慶太なら私の意を汲んでくれて、きっと“分かった”と言って了承してくれると、期待を込めて微笑みかける。
ところが、慶太は私が本気だと分かるやいなやプイっとそっぽを向いた。
「……嫌だ」
ん?今、嫌って言った?