シュガーレスでお願いします!
「比呂の言う節度ってどういうこと?」
「例えば……一緒にお風呂に入るのをせがまないとか……。家の中で手を繋いだり、目が合っただけでキスするとか……そういう諸々を控えるってことで……」
「へー?比呂は一緒に風呂に入るの嫌だったんだ?途中からノリノリで俺にしがみついてたじゃん」
気難しいマダムをも虜にするというキラースマイルで言われると、私の顔はボンっと瞬時にゆでだこのように真っ赤になった。
同類みたいな言い方はやめて欲しい。
あれは!!
慶太が!!
勝手に風呂場に入ってきたんだろ!!
ムキになって言い返そうとして、寸でのところで思いとどまる。
慶太がもの凄くいやらしい触り方をしてくるから、その気にさせられてしまったのだと反論しようものなら、それこそ奴の思うツボだ。
「あのさあ……結婚生活までシュガーレスにすることないんじゃない?」
今日の慶太はものすごーく意地悪だった。
これが恋愛経験値の差なのか。
「とにかく、節度を持って行動してくれ」
完膚なきまでに言い負かされカッとなった私は、押し付けるようにそう言うしかなかったのである。