シュガーレスでお願いします!
初めて症状が出たのは小学生の時だ。
母親が張り切って作った手作りケーキを一口食べた瞬間、私は激しい腹痛と嘔吐に見舞われた。
お菓子作りなどしたことがない母親が砂糖の分量を間違えたのは後々分かったことだが、とにかく、それ以来スイーツは一切身体が受け付けなくなってしまったのだ。
この体質のせいで、これまで嫌な思いを沢山してきた。
誕生日や祝い事には必ずと言っていいほど、スイーツが振舞われる。
女性=スイーツ好きの図式があるのか、食べるように勧められ、体質を理由に断ると必ず怪訝な顔をされるわけだ。
それはもう……うんざりするくらい繰り返されてきた光景で。
スイーツが食べられませんとでも顔に貼っておけば回避できるのか?
……いーや、無理だな。
「慶太のケーキを食べてみたい?」
「まあ、出来ることなら……」
結婚する前から慶太にはこういう体質だということは伝えてあったし、理解を示してくれてはいるけれど、本心ではどう思っているか分からない。
私自身、一度も食べたことがないのはどうかと思うし。
「そうか……。よし、分かった!!じゃあ、協力してあげる」
大輔さんはグッと親指を立てると、任せとけと言わんばかりに胸を叩いたのだった。