ライアーピース2
「なぁ。君、今何年生だ?」
「……三年だよ」
「じゃあ受験期か。
どこの高校にするとか、決めてんの?」
「高校は行かねぇ。家を出て働くんだよ」
「……でも、中卒じゃあ仕事なかなかないぞ?」
母さんのダメだと言った言葉と、
父さんの高校は出なさいと言った言葉が、
頭の中でぐるぐるしている。
このおっさんまでそんなこと言うのかよ。
大人はみんな、同じことを言うんだな。
「俺は絶対高校には行かねぇ。
行ってやりてぇこともねぇしな」
「ふむ。……じゃあ君、ここでボランティアしないか?」
「はぁ?」
何言ってんだこのおっさん。
「はぁって、ボランティアって
言葉くらい知っているだろう?」
「そういうことを言ってんじゃねぇよ!
なんで俺がボランティアなんて
くそだせぇことやんなきゃなんねぇんだって言ってんだよ!」
「どうせ高校には行かないんだろ。
だったらここでボランティアでもすればいい。
時間は余っているんだ。来年になったらここで働けばいい」
「ちょっ!勝手に決めんなよ!」
「なんで?別にいいだろ?暇してんだろうし」
「おいおい、頭おかしいのか?こんなところで
働くわけねぇだろ!しかも中学出るまでは
金入んねぇんだろ?
そんなかったりぃこと、誰がするかよ!」
「じゃあ君は何ならいいんだ?
高校には入りたくない、面倒なことは嫌だ。
そんなんじゃ、どこに行ってもダメになるぞ」
痛いところをつかれた。
そうだ、俺は何ならいいんだ?
そんなこと分かってる。
ダメなことくらい、分かってんだよ。