ライアーピース2



「座りなさい。他のお客さんに迷惑だろ」


父さんが俺を見上げて窘める。
そこがガキなんだよと言われているような瞳に耐え切れずに、
渋々座り直した。


「とにかく、家を出るなんてダメだ。
 きちんと高校に行きなさい」


お父さんに絶対反対されると言った
母さんの声が耳奥にこびりついている。


本当にその通りになって嫌気がさした。


期待した俺がバカだった。


父さんなら分かってくれると、
そんな淡い期待、抱くんじゃなかった。






大人はみんな、自分勝手。


都合が悪いとすぐにガキ扱いする。
嫌んなるよ、まったくよ。


「高校になんて、絶対行かねぇかんな」


「楓。もう少し大人になれ。高校に行かないなんて
 わがまま言うな。父さんだって―」


「うぜぇな。父さんだって、なんだよ。
 家にろくにいねぇくせによ。
 ……俺が何も知らないと思うなよ」


「なに?それは、どういう……」


「てめぇなんか父親じゃねぇ!さっさと失せろよ!」


「か、楓!」


勢いよく立ち上がって、店を出た。
すぐにケータイが震える。


父さんからの電話が鳴り続けてしんどかったから、
ケータイの電源を切った。


くそっ、胸糞わりぃ。


なんで離婚なんかしたんだよ。


親の都合で子どもに迷惑かけて……ばっかじゃねぇの?




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