君への愛は嘘で紡ぐ
外の世界の楽しさを知ったからだろうか、今まで以上にこの場から逃げ出したい。
そう思ったところで、勝手に帰ることはできないが。
「こんばんは、円香さん」
飲み物を受け取りに行こうとしたとき、名前を呼ばれた。
振り向くと、私の許嫁だと言われている鈴原さんが二つのコップを持って立っている。
「鈴原さん……こんばんは」
「よかったら、どうぞ」
「……ありがとうございます」
コップを受け取る。
「聞きましたか?僕たちのこと」
「はい……許嫁って……」
「僕と結婚するのは嫌ですか?」
鈴原さんは落ち込んでいるように見える。
嫌だと思っていることが顔に出てしまったのだろうか。
私は慌てて顔を背ける。
少し前の私なら、仕方ないと受け入れただろう。
だが、状況は変わったのだ。
私は今、笠木さんと一緒にいたい。
生きていきたい。
その思いを抱えながら、ほかの方と結ばれることはできない。
「まあ、嫌でも断れないのが子供の立場ですよね」
鈴原さんは苦笑しながら言った。
私たちはいわゆる、政略結婚というやつだろう。
両家の利益のために結婚させられる。
「鈴原さんは、私なんかでいいのですか?」
きっと、私が嫌だと言うことはできない。
そう思ったところで、勝手に帰ることはできないが。
「こんばんは、円香さん」
飲み物を受け取りに行こうとしたとき、名前を呼ばれた。
振り向くと、私の許嫁だと言われている鈴原さんが二つのコップを持って立っている。
「鈴原さん……こんばんは」
「よかったら、どうぞ」
「……ありがとうございます」
コップを受け取る。
「聞きましたか?僕たちのこと」
「はい……許嫁って……」
「僕と結婚するのは嫌ですか?」
鈴原さんは落ち込んでいるように見える。
嫌だと思っていることが顔に出てしまったのだろうか。
私は慌てて顔を背ける。
少し前の私なら、仕方ないと受け入れただろう。
だが、状況は変わったのだ。
私は今、笠木さんと一緒にいたい。
生きていきたい。
その思いを抱えながら、ほかの方と結ばれることはできない。
「まあ、嫌でも断れないのが子供の立場ですよね」
鈴原さんは苦笑しながら言った。
私たちはいわゆる、政略結婚というやつだろう。
両家の利益のために結婚させられる。
「鈴原さんは、私なんかでいいのですか?」
きっと、私が嫌だと言うことはできない。