君への愛は嘘で紡ぐ
それならば、鈴原さんからお断りしてもらうしかない。


「それは僕のセリフですよ。円香さんは美しく、人気だ」
「そんなこと……」


ない、と続けようとしたけれど、唇に指を当てられた。


「皆、円香さんに注目していますよ」


そう言われて見渡すと、本当に私たちのほうを見ている人が多い。


「……鈴原さんへの視線ではないでしょうか」


鈴原さんの容姿は整っていて、私が隣に立つのは相応しくない。


「円香さんは自分自身への評価が低いですね。美しい容姿と、小野寺という名は、誰もが欲するものです」


理解した。


誰も、私の中身を見ていない。


やはりこういうものか。
笠木さんは自分を見てほしければ、相手を見ろと言っていた。


だけど、ここにいる人たちのことを見たい、知りたいと思わない場合、どうすればいいのだろう。


やはり、ここでは上辺の関係が一番なのだろうか。


ここにいればいるほど、笠木さんや瑞希さん、由実さんに会いたくなる。


「ところで円香さん」


鈴原さんに呼ばれ、顔を上げる。
鈴原さんは一枚の写真を取り出した。


「この金髪とは、どういう関係ですか」


鈴原さんは笑っているが、怒っているのが声でわかる。
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