君への愛は嘘で紡ぐ

玲生side

それは突然のことだった。


お嬢様の友達が言ってた通り、バイト先の喫茶店は人気が出てきたようで、昼時はかなり忙しかった。


そのせいで、薬を飲む暇がなかった。


結果、バイト中に倒れてしまった。


いつものように病院で目を覚ます。


「おはよ。店長さんたちには適当に言って帰ってもらったよ」


担当医の中條先生が教えてくれた。
誰にも知られたくないと言っていたから、そうしてくれたのだろう。


すると、先生から笑顔が消える。


「……玲生」


この瞬間は、いつも緊張する。
先生が真剣な表情をしたとき、いいことは言われないことが多い。


「もう……バイトは無理なんじゃないか?」


否定できなかった。


母さんと無理をしない約束をした。
意地を張ってできる、とは言えなかった。


「俺……限界?」


薬を飲む時間がズレたことは、何度かあった。
そのときは、少ししんどくなったくらいで、今回みたいに倒れることはなかった。


「精密検査しないことにははっきり言えないけど……なんとなく、自分でわかってるだろ」
「……まあ」


実際、今体を起こすことが出来ていない。
かなり体が重く感じている。


「ねえ、先生」


天井を見つめていたけど、次第に涙で見えなくなる。
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