君への愛は嘘で紡ぐ
だから、お嬢様はまたあの閉じこもった世界に連れ戻されたのか?
「玲生くん……」
「先生!」
汐里さんの声をかき消すほど大きな音でドアが開き、汐里さんを呼んだ。
「笠木さんがどちらにいらっしゃるか、ご存知ですか!?」
俺を笠木さんと呼ぶのは、一人しかいない。
なにより、この声。
わからないわけがない。
俺は最後の力を振り絞り、立ち上がる。
「……保健室で大声出すなよ、お嬢様」
カーテンをしっかりと掴んでいなければ、立っていられなかった。
お嬢様は、見たことのない制服を着ている。
いかにもお嬢様というような、金持ちが着るような制服。
俺との身分差がはっきりと目に見える。
「笠木さん……!」
お嬢様は俺に抱きついてきた。
全身にあまり力が入っていないせいか、後ろに倒れそうになる。
予想外の行動にときめいている場合ではない。
体調が悪いことを勘づかれるのではないかと、気が気じゃない。
「……他校生が入ってきたらいけないと思うんだけど?」
「これが最後のルール違反です」
すぐ近くで笑うお嬢様を見て、抱き返したくなる。
だけど、俺は今から彼女を突き放さなければならない。
そんな、期待させるようなことはしない。
「玲生くん……」
「先生!」
汐里さんの声をかき消すほど大きな音でドアが開き、汐里さんを呼んだ。
「笠木さんがどちらにいらっしゃるか、ご存知ですか!?」
俺を笠木さんと呼ぶのは、一人しかいない。
なにより、この声。
わからないわけがない。
俺は最後の力を振り絞り、立ち上がる。
「……保健室で大声出すなよ、お嬢様」
カーテンをしっかりと掴んでいなければ、立っていられなかった。
お嬢様は、見たことのない制服を着ている。
いかにもお嬢様というような、金持ちが着るような制服。
俺との身分差がはっきりと目に見える。
「笠木さん……!」
お嬢様は俺に抱きついてきた。
全身にあまり力が入っていないせいか、後ろに倒れそうになる。
予想外の行動にときめいている場合ではない。
体調が悪いことを勘づかれるのではないかと、気が気じゃない。
「……他校生が入ってきたらいけないと思うんだけど?」
「これが最後のルール違反です」
すぐ近くで笑うお嬢様を見て、抱き返したくなる。
だけど、俺は今から彼女を突き放さなければならない。
そんな、期待させるようなことはしない。