君への愛は嘘で紡ぐ
瑞希さんはおしぼりで手を吹き、水を喉に通した。


「さっき話題になってた、笠木のこと」


瑞希さんは真剣な面持ちでいる。


「笠木、今入院してるみたいで……」


もう一度水を飲み、私のほうを向いた。
泣きそうな、だけど困っているような表情は初めて見る。


「……余命三ヶ月だって」


頭が真っ白になった。


「ちょっと瑞希、変なこと急に言わないでよ……」


由実さんも理解が追いついていないようで、戸惑っている。


「でも、本当のことなんだよ!」


瑞希さんは苦しそうに叫んだ。


笠木さんが、余命三ヶ月?
病気ではないというのは、嘘だったということ?


「私のお母さんが骨折で入院してて、お見舞いに行ったときに笠木を見かけた。それで……笠木と先生の話が聞こえて……」


それが、余命三ヶ月という内容だったということか。


「えんには言わないとって思った……だってほら、えん、笠木のこと……」


瑞希さんは最後まで言い切らなかった。


大きく深呼吸をする。


「笠木さんとは、無関係ですよ。彼には、会いに行きません」


瑞希さんも由実さんも、私の顔を凝視している。


「円香ちゃん、どうしてそんなに冷たいこと言うの……?」
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