君への愛は嘘で紡ぐ
「あんなに仲良かったじゃん!無関係とか、ありえない」


笠木さんを目の敵にしていた瑞希さんのセリフとは思えない。


会いに行きたいに決まっている。
だけど、今の私には自由がない。


私が会いに行って、もし笠木さんを苦しめてしまったら。


そう思うと、気安く行きたいなどと言えない。


「……円香ちゃんのお家の事情?」


先ほど私の隠しごとを知った由実さんだからこその質問だ。


「……私がまた転校したのは、笠木さんのことをお父様に知られ、怒られたからです。お父様に逆らうと、きっと、笠木さんによくないことをする」


瑞希さんは理解不能という顔をしている。
そんな瑞希さんに、由実さんがこっそり私のことを教えた。


瑞希さんは驚いていたが、すぐに納得したらしい。


「よくないことって?」
「わかりません……ただ、私たちが会えなくなるようなことをするのではないかと」


病人である笠木さんの命を奪うなどということはしないはず。
だが、残り三ヶ月と言われている笠木さんにとって、遠い場所に移されるのは、体の負担になるだろう。


「娘の恋くらい、応援しろよ……」


瑞希さんは呆れたように呟いた。


「私には許嫁がいますので、応援はされませんよ」
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