君への愛は嘘で紡ぐ
◇
週末、由実さんと待ち合わせをして病院に向かった。
瑞希さんは仕事があるということで、お母様の病室番号を教えてもらった。
由実さんは来たことがあるのか、あまり迷わず病室にたどり着いた。
そこは四人部屋だった。
「あれ?由実ちゃん?久しぶりだねー!元気だった?」
中に入ってすぐ、部屋の右奥から由実さんに声をかける人がいた。
右足にギプスを巻いているのが出入り口からでも見える。
「お久しぶりです、おばさん。瑞希に骨折したって聞きましたよ。大丈夫ですか?」
それが瑞希さんのお母様だったらしく、由実さんは笑顔で答えた。
私は由実さんの後ろを、隠れるように歩く。
「階段から転げ落ちてねー。私は平気なんだけど、瑞希が、家に誰もいないのにどうする気?って怒っちゃって。だから、ある程度治るまで入院することにしたの」
笑って話されると、どう反応すればいいのか分からない。
「ところで、そちらは?」
お母様の視線が私に向いた。
「小野寺円香です」
「正真正銘のお嬢様で、私たちの友達。円香ちゃんもおばさんのこと心配して来てくれたんだよ」
由実さんは私の背中を押し、ベッドに近付けた。
お母様は目を丸くしている。
週末、由実さんと待ち合わせをして病院に向かった。
瑞希さんは仕事があるということで、お母様の病室番号を教えてもらった。
由実さんは来たことがあるのか、あまり迷わず病室にたどり着いた。
そこは四人部屋だった。
「あれ?由実ちゃん?久しぶりだねー!元気だった?」
中に入ってすぐ、部屋の右奥から由実さんに声をかける人がいた。
右足にギプスを巻いているのが出入り口からでも見える。
「お久しぶりです、おばさん。瑞希に骨折したって聞きましたよ。大丈夫ですか?」
それが瑞希さんのお母様だったらしく、由実さんは笑顔で答えた。
私は由実さんの後ろを、隠れるように歩く。
「階段から転げ落ちてねー。私は平気なんだけど、瑞希が、家に誰もいないのにどうする気?って怒っちゃって。だから、ある程度治るまで入院することにしたの」
笑って話されると、どう反応すればいいのか分からない。
「ところで、そちらは?」
お母様の視線が私に向いた。
「小野寺円香です」
「正真正銘のお嬢様で、私たちの友達。円香ちゃんもおばさんのこと心配して来てくれたんだよ」
由実さんは私の背中を押し、ベッドに近付けた。
お母様は目を丸くしている。