君への愛は嘘で紡ぐ
◇
自宅に帰ると、鈴原さんに出迎えられた。
「こんにちは、円香さん。おかえりなさい」
目が笑っていない。
ドアを閉めるが、そこから足が動かない。
「……ただいま戻りました」
まだ怒られているわけではないのに、体が強ばった。
「その感じだと自覚あるみたいですね」
鈴原さんはスマホを操作しながら私に近付く。
そして、目の前で止まって画面を見せた。
それは、笠木さんが私に抱きついている写真だ。
やはり知られていた。
「どういうことか説明してもらえますか?」
彼に告白され、抱き締められたと言って、納得してもらえるのだろうか。
「どうして彼に会いに行ったのですか?」
瑞希さんの言葉を思い出す。
笠木さんとのことを疑われたときの、言い訳。
「違います……私は、友人のお母様が入院していると聞いたので、お見舞いに行ったのです」
鈴原さんはまだ疑いの目を向けてくる。
信じてくれと心の中で祈る。
「たしかに、そういう報告もありますね。ですが、この状況の説明にはなっていません」
笠木さんを悪者だと思わせる言葉しか思い浮かばない。
そんなことは言えなくて、私は逃げたい気持ちから後ろに下がる。
自宅に帰ると、鈴原さんに出迎えられた。
「こんにちは、円香さん。おかえりなさい」
目が笑っていない。
ドアを閉めるが、そこから足が動かない。
「……ただいま戻りました」
まだ怒られているわけではないのに、体が強ばった。
「その感じだと自覚あるみたいですね」
鈴原さんはスマホを操作しながら私に近付く。
そして、目の前で止まって画面を見せた。
それは、笠木さんが私に抱きついている写真だ。
やはり知られていた。
「どういうことか説明してもらえますか?」
彼に告白され、抱き締められたと言って、納得してもらえるのだろうか。
「どうして彼に会いに行ったのですか?」
瑞希さんの言葉を思い出す。
笠木さんとのことを疑われたときの、言い訳。
「違います……私は、友人のお母様が入院していると聞いたので、お見舞いに行ったのです」
鈴原さんはまだ疑いの目を向けてくる。
信じてくれと心の中で祈る。
「たしかに、そういう報告もありますね。ですが、この状況の説明にはなっていません」
笠木さんを悪者だと思わせる言葉しか思い浮かばない。
そんなことは言えなくて、私は逃げたい気持ちから後ろに下がる。