君への愛は嘘で紡ぐ
その後ろから奈子さんが走ってきた。


「どうして……」


お父様が来たこと、奈子さんがお父様を追いかけていたことに混乱し、それ以外出てこなかった。


お父様に追いついた奈子さんは、膝に手をついて呼吸を整える。


「私は、お嬢様の恋を応援したいんです。その説得を……それと、お嬢様がうちにいることを改めて伝えに」


後者が真の目的であるべきだろう。


それにしても、そこまで私のことを応援してくれているとは思っていなかった。


「改めてって?」
「柳さんには昨夜のうちに連絡しておいたので、今日は旦那様に直接伝えに来ました」


なぜ大事になっていなかったのか、すぐに納得した。
というか、いつの間に柳に連絡などしていたのだろう。


「旦那様はお嬢様のことをとても大切にされていますから、お嬢様が家出をし、携帯の電源を切ったとなると、心配なさるだろうと思ったので」


お父様が、私のことを?
あれだけ私を閉じ込め、縛り付けておいて?


大切にしているなんて、嘘か奈子さんの妄想だ。
ありえない。


すると、ずっと私と話していた奈子さんは、お父様のほうを見た。


「旦那様、きちんと言葉にしないと何も伝わりませんよ」


お父様は私と目を合わせない。
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