君への愛は嘘で紡ぐ
◇
家に戻るまでの間、私たちは一切話さなかった。
門の前には柳が立っていて、私の姿を見た瞬間、駆け寄ってきた。
「よかった……」
柳の目の下にクマがあって、眠れなかったのがわかる。
奈子さんから連絡があったはずなのに、心配してくれていたらしい。
「……ごめん、なさい……」
柳の独り言のような言葉と安心しきった顔を見て、思わず謝ってしまった。
家の中に入ると、すぐにリビングに向かった。
久々にお父様と食卓を囲んでいるのに、全く楽しい気分にならない。
そもそも、お父様と二人きりという状況が初めてに近くて、緊張してしまう。
「円香」
お父様と話したいと思ったはずなのに、どう切り出していいのかわからずにいたら、お父様に名前を呼ばれた。
私は顔を上げてお父様を見る。
「はい」
少し声が裏返った。
怖いとはまた違う感情だ。
「今後、どうしたい」
素直に話していいのだろうか。
自分の思っていることを伝えようと覚悟を決めたが、実際その状況になると、恐怖が勝る。
「私、は……」
声が震える。
頭は真っ白になっていって、言葉が出てこない。
「……少し私の話をしよう」
お父様は柳がいれたコーヒーを喉に通した。
家に戻るまでの間、私たちは一切話さなかった。
門の前には柳が立っていて、私の姿を見た瞬間、駆け寄ってきた。
「よかった……」
柳の目の下にクマがあって、眠れなかったのがわかる。
奈子さんから連絡があったはずなのに、心配してくれていたらしい。
「……ごめん、なさい……」
柳の独り言のような言葉と安心しきった顔を見て、思わず謝ってしまった。
家の中に入ると、すぐにリビングに向かった。
久々にお父様と食卓を囲んでいるのに、全く楽しい気分にならない。
そもそも、お父様と二人きりという状況が初めてに近くて、緊張してしまう。
「円香」
お父様と話したいと思ったはずなのに、どう切り出していいのかわからずにいたら、お父様に名前を呼ばれた。
私は顔を上げてお父様を見る。
「はい」
少し声が裏返った。
怖いとはまた違う感情だ。
「今後、どうしたい」
素直に話していいのだろうか。
自分の思っていることを伝えようと覚悟を決めたが、実際その状況になると、恐怖が勝る。
「私、は……」
声が震える。
頭は真っ白になっていって、言葉が出てこない。
「……少し私の話をしよう」
お父様は柳がいれたコーヒーを喉に通した。