君への愛は嘘で紡ぐ
「笠木くんには、これからも会いに行くの?」
頬を緩めながら頷く。
「よかったね」
心から笑ったのは、何年ぶりだろう。
そう思うくらい、気持ちが軽かった。
◇
講義が終わると、病院に向かった。
笠木さんの病室に着くより前に、休憩所で他の患者さんと話している笠木さんを見つけた。
笠木さんは円の中心にいて、笠木さんと話している人たちはみんな笑っている。
遠目で笠木さんを見ていたら、誰かに肩を叩かれた。
「こんにちは、小野寺さん」
「汐里先生……?どうして……」
背後にいたのは汐里先生だったけど、私はどうしてこの時間帯に汐里先生がいるのか、不思議でならなかった。
今日は平日で、仕事があるはずだ。
「ああ、そういえばまだ言ってなかったか。私、養護教諭辞めたの」
あまりに自然に言うから、思わず聞き流してしまうところだった。
「辞めたって……」
「もともと、玲生くんが通ってたから、あの学校に勤めてたの」
それを聞いて、質問を重ねようとは思わなかった。
「今はバイトしながら、希実さんと交代で玲生くんのお見舞いに来てる。まあ、希実さんは無理して毎日来てるけどね」
汐里先生は苦笑した。
頬を緩めながら頷く。
「よかったね」
心から笑ったのは、何年ぶりだろう。
そう思うくらい、気持ちが軽かった。
◇
講義が終わると、病院に向かった。
笠木さんの病室に着くより前に、休憩所で他の患者さんと話している笠木さんを見つけた。
笠木さんは円の中心にいて、笠木さんと話している人たちはみんな笑っている。
遠目で笠木さんを見ていたら、誰かに肩を叩かれた。
「こんにちは、小野寺さん」
「汐里先生……?どうして……」
背後にいたのは汐里先生だったけど、私はどうしてこの時間帯に汐里先生がいるのか、不思議でならなかった。
今日は平日で、仕事があるはずだ。
「ああ、そういえばまだ言ってなかったか。私、養護教諭辞めたの」
あまりに自然に言うから、思わず聞き流してしまうところだった。
「辞めたって……」
「もともと、玲生くんが通ってたから、あの学校に勤めてたの」
それを聞いて、質問を重ねようとは思わなかった。
「今はバイトしながら、希実さんと交代で玲生くんのお見舞いに来てる。まあ、希実さんは無理して毎日来てるけどね」
汐里先生は苦笑した。