君への愛は嘘で紡ぐ
「笠木さんが……友達の親の金で手術はしたくない、と……」
怒られているという気持ちからか、声が震える。
お父様はもう一度ため息をついた。
「本人と直接話したほうが早いな」
驚いて口を開けたが、私の声は音にならなかった。
お父様が笠木さんに会うと言ったことに動揺して、頭が回らない。
「柳、田崎に予定を調整するよう伝えておいてくれ」
私が固まっていたら、お父様は箸を手にして黙って立っている柳に言った。
田崎さんはお父様の秘書だ。
「……かしこまりました」
その指示に従うことが嫌だったのか、顔を顰めながら返答した。
料理をつついているお父様には見えていないが、私からははっきりと見えた。
結婚に一番反対しているのは、柳かもしれない。
そんなことを思いながら、用意されている朝ごはんを食べた。
◇
お父様が笠木さんに話を聞きに行く時間を田崎さんに聞き、その時間に合わせて病院に行った。
今日は希実さんが来ていたらしく、非常に気まずい空気になつている。
「えっと……円香ちゃん、この方は……?」
「円香の父です」
私が答えるよりも先にお父様が答え、頭を下げた。
それにつられるように、希実さんもお辞儀をした。
怒られているという気持ちからか、声が震える。
お父様はもう一度ため息をついた。
「本人と直接話したほうが早いな」
驚いて口を開けたが、私の声は音にならなかった。
お父様が笠木さんに会うと言ったことに動揺して、頭が回らない。
「柳、田崎に予定を調整するよう伝えておいてくれ」
私が固まっていたら、お父様は箸を手にして黙って立っている柳に言った。
田崎さんはお父様の秘書だ。
「……かしこまりました」
その指示に従うことが嫌だったのか、顔を顰めながら返答した。
料理をつついているお父様には見えていないが、私からははっきりと見えた。
結婚に一番反対しているのは、柳かもしれない。
そんなことを思いながら、用意されている朝ごはんを食べた。
◇
お父様が笠木さんに話を聞きに行く時間を田崎さんに聞き、その時間に合わせて病院に行った。
今日は希実さんが来ていたらしく、非常に気まずい空気になつている。
「えっと……円香ちゃん、この方は……?」
「円香の父です」
私が答えるよりも先にお父様が答え、頭を下げた。
それにつられるように、希実さんもお辞儀をした。