君への愛は嘘で紡ぐ
玉ねぎ、キャベツと順にフライパンに入れていく。
しっかり火が通るまで炒めると、水を入れ、何か粉のようなものを入れた。


「それはなんですか?」
「鶏ガラスープの素だよ」


希実さんは私の質問に答えながら、お椀に片栗粉と水を入れ、混ぜている。


「水で溶いた片栗粉を入れると、とろみがつくんだ」


私が質問するよりも先に教えてくれた。


そして回すようにしてフライパンの中に入れた。
最後に全体を混ぜると、火を切った。


「麺のほうもいい感じ」


焼きそばの麺にはきつね色の焦げ目がついている。
希実さんはそっちの火も切る。


焦げ目がついたほうを上にして皿に移すと、野菜を上にかけた。


「あんかけ焼きそばの完成。早速食べてみよう」


ローテーブルにあんかけ焼きそばを置くと、箸を二膳用意した。


「座って、座って」


箸が置かれた前に座るが、希実さんは取り皿を取りにまた台所に戻った。


夕飯どきということもあり、あんかけ焼きそばの匂いでお腹が空いてくる。


「それじゃあ、いただきます」
「いただきます」


希実さんに続くように言い、希実さんの真似をしてあんかけ焼きそばを皿に取る。


食べたことのない料理で、恐る恐る口に運ぶ。


「美味しい」
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