君への愛は嘘で紡ぐ
◇
希実さんに料理を教わって、五日が過ぎた。
私の荷物はなかなか片付かなくて、まだ引っ越すことはできていなかった。
あんかけ焼きそばについては、毎日のように奈子さんの家を訪ね、練習を繰り返している。
食材を切るレベルが上がっても、希実さんが目分量でやっていた部分が結構難しく、安定した味にならない。
今日は奈子さんの家の片栗粉を使い果たしたため、それの買い出しをして家に向かう。
その途中、ポケットに入れていた電話がなった。
足を止めてスマホを取り出すと、電話の相手が玲生さんであることがわかる。
滅多に電話をかけてくることのない相手からで、少し戸惑いながら応答の方向にスライドし、耳に当てる。
「もしもし……?」
「円香ちゃん?」
電話の相手は玲生さんではなく、希実さんだった。
一気に緊張が解ける。
「希実さん?どうかしましたか?」
「あのね、円香ちゃん……落ち着いて、聞いてね」
希実さんが深呼吸する音が聞こえる。
「玲生の容態が悪化して、今手術室に運ばれたの」
ビニール袋が手からすり落ちる。
希実さんが続けて説明していたけど、全く頭に入ってこなかった。
気付けば私は病院に向かって走り出していた。
希実さんに料理を教わって、五日が過ぎた。
私の荷物はなかなか片付かなくて、まだ引っ越すことはできていなかった。
あんかけ焼きそばについては、毎日のように奈子さんの家を訪ね、練習を繰り返している。
食材を切るレベルが上がっても、希実さんが目分量でやっていた部分が結構難しく、安定した味にならない。
今日は奈子さんの家の片栗粉を使い果たしたため、それの買い出しをして家に向かう。
その途中、ポケットに入れていた電話がなった。
足を止めてスマホを取り出すと、電話の相手が玲生さんであることがわかる。
滅多に電話をかけてくることのない相手からで、少し戸惑いながら応答の方向にスライドし、耳に当てる。
「もしもし……?」
「円香ちゃん?」
電話の相手は玲生さんではなく、希実さんだった。
一気に緊張が解ける。
「希実さん?どうかしましたか?」
「あのね、円香ちゃん……落ち着いて、聞いてね」
希実さんが深呼吸する音が聞こえる。
「玲生の容態が悪化して、今手術室に運ばれたの」
ビニール袋が手からすり落ちる。
希実さんが続けて説明していたけど、全く頭に入ってこなかった。
気付けば私は病院に向かって走り出していた。