君への愛は嘘で紡ぐ
当然といえば当然だろう。


私だけが彼の笑顔や優しさを見た。
話を聞いただけで、瑞希さんたちの想像する笠木さん像が変わるはずがない。


「今日、汐里先生に笠木さんの様子を聞いてくるつもりです。私は、瑞希さんが仰るようなことはしていないと信じていますから」


拗ねたような言い方をしてしまった。


瑞希さんたちはそんな私の言い方など気にせず、顔を見合わせている。


「シオリなんて先生いたっけ?」
「さあ……」


気になった点はそこかとツッコミたくなる。


「……保健室の先生ですよ。笠木さんのいとこだそうです」


二人は納得した表情を見せると、すぐに目を見開いた。
動きというか、表情があまりにシンクロしていて、思わず笑ってしまう。


「笠木のいとこ……気になる」
「保健室なんてそんなに使わないから、見かけたことないよね」
「よし。えん、私たちもついて行こう」


ただの興味本位だろう。
それでも私がダメだと言う権利はない。


「……わかりました」


放課後になり、私たちは保健室に向かった。


体調不良で訪れたわけではないため、躊躇いながらノックをする。
中から先生の返事が聞こえ、ドアを開ける。


「小野寺さん、久しぶりだね」
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