君への愛は嘘で紡ぐ
最後に入った瑞希さんがドアを閉める。


「お久しぶりです。あの、笠木さんのお休みについて、何かご存じですか?」
「玲生くんの?」


先生は気まずそうに目を逸らした。


「悪いことしてるから言えない……とか?」
「瑞希、本当にやめて」


瑞希さんの遠慮のない言葉に由実さんが慌てている。


先生は小さな声で笑った。


「実は、そうなの」


言葉が出なかった。
信じたくなかった。


「玲生くん、学校サボってるんだよね。学校以上に大事なことがあるって」
「……女だ」
「違う違う」


先生は笑いながらすぐに否定した。
瑞希さんの態度に、由実さんは頭を抱えている。


「……いや、間違ってないかも」


自然とカバンを持つ手に力がこもる。


「希実さん……玲生くんのお母さん、今入院してて。だから、お見舞いとかに行ってるの」


私は胸をなで下ろした。


それと同時に、あまりに不謹慎なことを思ってしまった自分に吐き気がした。


「じゃあ、笠木くんは元気なんですね」
「うん。元気、元気。希実さんももうすぐ退院できるらしいから、もう登校してくるんじゃないかな」


まだ笠木さんに会えたわけではないのに、心が晴れていくような感じがした。
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