君への愛は嘘で紡ぐ
中学生になってからは急に変わった環境から、母さんに八つ当たりをするようになった。


どうして俺が病気なんだ。
こんなに苦しまないといけないんだ。
生まれてこなきゃよかった。


覚えているだけでも、母さんに酷いことを言った。


そのうち、通院生活も慣れてきて、二十歳まで生きられないという現実も受け入れられた。
それでも、母さんに対する態度はあまり改善されなかった。


高校受験をするとき、やっと母さんの言葉を聞いて三年間の言動を反省するけど、後悔するには遅すぎた。


「玲生の人生だもん。玲生が好きなように生きたらいい。ただ、自分を苦しめるようなことはしないでね」


ごめんと謝ることも出来なかった。


それから、俺はバイトを始めたり、髪を染めたり、自由に遊んだりと母さんとの時間をないがしろにしていた。


どこまでも親不孝者だ。
昨日みたいに母さんに言われないと気付けなかった。


お嬢様に説教できた立場じゃなかった。


「ちょっと玲生ー?どうしてそんなに暗い顔してるのー」


ちょうど信号で車が停まったらしく、母さんは俺の頬に指を突き刺した。


「……昔の自分がどれだけ愚かだったか思い返してただけ」
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