君への愛は嘘で紡ぐ
その理由は言うまでもない。
母さんは察してくれたみたいで、それ以上お嬢様のことについては言ってこなかった。
◇
目が覚めると、一瞬知らない場所で戸惑ったが、すぐに旅行に来たことを思い出した。
今まで自分で金を稼いでやりたいことをやってきたけど、誰かのやりたいことを一緒にやるのも、悪くない。
浴衣から持ってきていた服に着替え、顔を洗う。
その途中に母さんが目を覚ました。
「おはよー……」
母さんは目を擦りながら洗面所に来た。
母さんが顔を洗えるように少しずれる。
「おはよ、母さん」
お互い顔を洗い終えると、旅館を出る支度をする。
「もうちょっと遠くに行ってみるのもいいかもね」
母さんはまた窓の外を眺めている。
背中しか見えなくて、どんな気持ちで言っているのかわからない。
「……そうだね」
俺がもっと元気だったら、遠くに行くことも、長く寝泊まりすることも可能だ。
それが不確かだから、今回みたいな旅行になった。
それでも楽しかったから、俺は満足だ。
「そうだ、汐里ちゃんにお土産買って帰ろうよ。あと、どこかに寄るのもありだね」
振り返った母さんは笑顔で、俺は少し安心した。
母さんは察してくれたみたいで、それ以上お嬢様のことについては言ってこなかった。
◇
目が覚めると、一瞬知らない場所で戸惑ったが、すぐに旅行に来たことを思い出した。
今まで自分で金を稼いでやりたいことをやってきたけど、誰かのやりたいことを一緒にやるのも、悪くない。
浴衣から持ってきていた服に着替え、顔を洗う。
その途中に母さんが目を覚ました。
「おはよー……」
母さんは目を擦りながら洗面所に来た。
母さんが顔を洗えるように少しずれる。
「おはよ、母さん」
お互い顔を洗い終えると、旅館を出る支度をする。
「もうちょっと遠くに行ってみるのもいいかもね」
母さんはまた窓の外を眺めている。
背中しか見えなくて、どんな気持ちで言っているのかわからない。
「……そうだね」
俺がもっと元気だったら、遠くに行くことも、長く寝泊まりすることも可能だ。
それが不確かだから、今回みたいな旅行になった。
それでも楽しかったから、俺は満足だ。
「そうだ、汐里ちゃんにお土産買って帰ろうよ。あと、どこかに寄るのもありだね」
振り返った母さんは笑顔で、俺は少し安心した。