君への愛は嘘で紡ぐ
家に帰ると、早速奈子さんに驚かれた。


「お嬢様、その髪はどうされたんですか!?」


奈子さんの大声で、柳まで玄関に来た。
驚きすぎの柳は壁によろけた。


「似合わない、かな」
「似合う似合わないの問題ではありません!」


柳に怒鳴られ、納得してしまう。


柳の言う通り、似合う似合わないの問題ではない。


「小野寺家のお嬢様が、そんな、不良みたいなことをなさるなど、言語道断!どうしてそんなことを!」


ここまで否定されると、反抗したくなるというもの。


なんて、言えるはずがない。


「旦那様にご報告させていただきます。もし今の学校に通っていることが原因なのであれば、転校も考えます!」


柳はそう言い捨てると、奥に行ってしまった。


「……やっぱりダメかあ……」


ため息をつくと同時に、座り込む。
赤くなった毛先をつまみ、電気にかざす。
色素がなくなった毛先は綺麗な赤色になっている。


「お嬢様、どうして髪を染められたのですか?」
「……染めてみたいなって思ったの。毛先だけなら切れば済むし、この土日だけならいいかなって」


笑って誤魔化そうとするけど、奈子さんの不安そうな顔は変わらない。


居心地悪くなって、部屋に逃げる。
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