君への愛は嘘で紡ぐ
枕に顔をうずめて思いっきり叫ぶ。


似合ってると言ってほしかったわけではない。
ただあそこまで否定されたくなかっただけだ。


そのとき、メッセージが届いた。
送り主は瑞希さんだ。


『髪はどんな感じになった?』


言葉で説明するより写真を撮ったほうが早いと思い、内カメラにして写真を撮る。


『いい色だね』


やっと褒め言葉が聞けて、なぜか安心した。


『日曜、楽しみにしてるね』


私も楽しみだと返事をしようとしたとき、誰かがドアを叩いた。


誰がいるのか。
どうして叩いたのか。


それが瞬時にわかり、返事もしたくなかったし、ドアを開けたくもなかった。


だけど、容赦なくドアが開けられた。


予想通り、そこに立っていたのはお父様だった。


「円香……どういうつもりだ」


まだ六時前だというのに家にいるというのは、柳からの連絡を見て急いで帰ってきたということだろう。


何を言っても伝わらないと思い、黙り込む。


「それはあの低レベルな学校に通ったせいか?あの学校の中に、お前をそそのかした奴がいるのか?」


久々のお父様の圧迫的な態度は、恐怖で支配されるようなもので、言葉が出てこない。
< 83 / 228 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop