君への愛は嘘で紡ぐ
「もうあの学校には通わせない。髪も今すぐ黒に直してきなさい」


一番恐れていた言葉を、お父様はあっさりと言った。
私は泣きそうになりながら、首を横に振る。


「私、は……あの学校に、通いたいです……」


絞り出した声は、お父様に届きそうになかった。


どうして、こういうときに勇気が出ないのだろう。


お父様は大きくため息をついた。


たったそれだけなのに、体が強ばる。


「やはりわがままを聞くのではなかった。悪影響になるものしかない場に、入れるべきではなかった」
「……違います!」


お父様に反抗してしまった。


学校に通ったことで悪影響になんてなくて、お父様の言葉を肯定してはいけないと思うと、思わず声が出た。


「私はあの学校に通って、初めて友達が出来ました。誰かに会うことを楽しみに思う気持ちを知りました」


そして、誰かを好きになるという幸せを知った。


「ではなぜ、お前は髪を染めた。その友人に無理矢理やらされたのか?」


髪を染めたいと、私自身が思ったことだ。
強制などされていない。


「いくらお父様でも、私の友人を侮辱するような発言は許しません」


お父様は私を見下ろしてくる。
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