君への愛は嘘で紡ぐ
Fifth Lie
日曜日、待ち合わせ場所に行く前に髪を染めた美容室に行った。


「髪、切っちゃったの!?」


ちょうど髪を染めてくれた美容師さんがいて、私の顔を見ると驚かれた。


鏡の前に座ると、美容師さんは切られた毛先を見る。


目の前の私は顔色が悪く、今にも自殺しそうな顔をしている。
身支度はきちんとして出たはずだが、しっかり見るとかなり酷い。


「これ……自分で切ったの?」


小さく首を横に振る。


「……そっか」


それ以上は聞いてこなくて、毛先を揃えてくれた。


「今日の服おしゃれだけど、玲生とデート?」


私を元気づけようとしてこの話題なのだろう。


「いえ……今日は、友人と遊びに」
「じゃあ、ヘアメイクもしてあげる」


されるがままで、完成した自分はここに来たときとまるで別人だった。


肩あたりで切りそろえられた髪はアイロンで巻かれていて、化粧は顔色の悪さを隠している。


「ありがとう、ございます……」
「いいえ。髪を染めたときより好感触だね。よかった」


美容師さんは道具を片しながら言った。


あのとき私がなにも言わなかったことが気がかりだったのか。


「……笠木さんの髪を見ていたら、私も少し、染めてみたいって思ったんです」
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