君への愛は嘘で紡ぐ
「付き合えばいいんでしょ」
「だから、嫌なら来なくていいってば」


二人はまだ言い合いをしながら駅の中に入っていった。


その背中を見つめていたら、二人が同時に振り返った。


「どうしたの、円香ちゃん」
「おいていくよ、えん」


私も仲間に入ってもいいと言われたような気がして、足が軽くなる。


電車に乗り、由実さんが行きたいという喫茶店の最寄り駅で降りた。
タイミングよく瑞希さんのお腹が鳴った。


十二時前で、私もお腹が空いた。


「ラーメン」
「円香ちゃん、何が食べたい?」


瑞希さんのラーメンが聞こえなかったのか、聞こえないふりをしたのかわからないけど、由実さんは私に確認した。


「ラーメン」


瑞希さんは諦めずにもう一度言った。


「今日は円香ちゃんの日だから、瑞希は我慢して」
「私はラーメンでいいですよ?」


私のせいで我慢させるのは嫌で、そう言った。


「食べてみたいですし」


こう思ったのも嘘ではない。
家では絶対に出てこないメニューで、徐々に食べたい気持ちが出てくる。


「この辺でおいしそうなラーメン店があるんだよ。行こう」


瑞希さんに手を引かれて転びそうになりながら歩く。
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