君への愛は嘘で紡ぐ
由実さんが走って追いかけてくる。
「えんは何ラーメンが好き?」
「食べたことがないので、わからないです……」
瑞希さんが急に立ち止まったことで、私は瑞希さんの背中にぶつかる。
「ラーメン、食べたことないの!?」
顔を近付けてきたから、思わずのけぞる。
背中を反ったまま数歩後ろに下がった。
「存在は知っていますよ?ただ、食卓に並んだことがないだけで」
「それを食べたことがないって言うんです」
瑞希さんは抑揚なしに、真顔で言ってきた。
どう反応すればいいのかわからない。
「円香ちゃんが困ってるでしょ」
由実さんが間に入ったことで、瑞希さんは不服そうに離れていく。
そして瑞希さんは右手を顎に当てた。
「さっぱり系とこってり系、どっちが好き?」
そう言われても、やはり食べたことがないもので好みの味を伝えるのは不可能に近い。
私は答えに迷い、結局黙ってしまった。
瑞希さんは手を当てたまま体の向きを変え、歩き始めた。
私と由実さんはその背中を追う。
「円香ちゃん、本当にラーメンでいいの?」
私が瑞希さんの質問に答えられていないことから、そう思われたのだろう。
たしかに何味がいいのかはわからないが、食べてみたいことに変わりはないのだ。
「えんは何ラーメンが好き?」
「食べたことがないので、わからないです……」
瑞希さんが急に立ち止まったことで、私は瑞希さんの背中にぶつかる。
「ラーメン、食べたことないの!?」
顔を近付けてきたから、思わずのけぞる。
背中を反ったまま数歩後ろに下がった。
「存在は知っていますよ?ただ、食卓に並んだことがないだけで」
「それを食べたことがないって言うんです」
瑞希さんは抑揚なしに、真顔で言ってきた。
どう反応すればいいのかわからない。
「円香ちゃんが困ってるでしょ」
由実さんが間に入ったことで、瑞希さんは不服そうに離れていく。
そして瑞希さんは右手を顎に当てた。
「さっぱり系とこってり系、どっちが好き?」
そう言われても、やはり食べたことがないもので好みの味を伝えるのは不可能に近い。
私は答えに迷い、結局黙ってしまった。
瑞希さんは手を当てたまま体の向きを変え、歩き始めた。
私と由実さんはその背中を追う。
「円香ちゃん、本当にラーメンでいいの?」
私が瑞希さんの質問に答えられていないことから、そう思われたのだろう。
たしかに何味がいいのかはわからないが、食べてみたいことに変わりはないのだ。