結婚してみませんか？
「ここの部屋使って。」

相沢さんに案内され、私は手に持っていた大きめの鞄を部屋に置く。

昨日お試し生活を承諾したばかりなのに、何事も早めがいいと相沢さんが言うので、早速今日から2人の生活を始める。

今日は土曜日で仕事も休み、ということで、相沢さんは車で私のアパートまで迎えに来てくれた。

どっちの家で生活する？と言う話になったけど、私のアパートでは2人で生活するには狭いので、アパートから必要最低限の荷物を持って相沢さんのマンションにお邪魔する事になった。

「はい、これ。」

荷物を置いてリビングに行くと、相沢さんが何かを手渡してきた。

手を広げると、私の手の中に鍵がある。

「家の鍵…必要でしょ？」

確かに…そして実感。
あぁ、本当に一緒の生活が始まるんだ。

「ありがとうございます。」

「恋ちゃん、俺なんかに敬語使わなくていいよ？」

相沢さんは笑顔を見せながらその場に座る。

「いえ…まだ普通に話すにはハードルが高いです。」

「やっぱり面白いなぁ、恋ちゃん。」

相沢さんはクスクス笑う。そんなに変なこと言ったかなぁ。

「じゃあ改めて…よろしくね、恋ちゃん。」

「はい、よろしくお願いします。」

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