結婚してみませんか？

仕事が休みだったこの土・日、私はずっと相沢さんのマンションで過ごした。

そして分かった事がある。

始めこそ多少の緊張はあったけど、生活が始まってみれば、今までの生活とそんなに変わらなかった。

というのも、たまたまかもしれないが相沢さんは朝から夜遅くまで何処かへ出かけてたし、家の中でも殆ど会う事はなかったのだ。

平日も相沢さんのマンションから仕事に行く。いつものように仕事して帰ってゆっくりする。たまに家の中で相沢さんと話もするが、基本的には自分の時間が殆どだ。

「…本当にただのルームシェアみたい。」

そんな事を考えながら、1週間を過ごした。

1週間が経ち、私と相沢さんはテーブルに向かい合って座る。

「どうだった？俺との生活。」

相沢さんは笑顔で話を切り出した。

「逆に…どうでしたか？」

私は質問返しをする。

「俺は…やっぱり恋ちゃんっていいなって思った。居心地良かったし。」

「私は…本当にルームシェアみたいって思いました。居心地は悪くなかったです。」

「じゃあ改めて言うから結論を聞かせて？…俺と結婚してみませんか？」

笑顔だった相沢さんの表情は、いつのまにか真剣な表情に変わり、真っ直ぐな目で力強く私を見つめる。

結婚かぁ…。
まさか結婚の返事で悩む日が来るとは。

でも…何故だろう。

私は彼との結婚を受け入れようとしている。自分でも意外だが、私は彼に興味を持っているみたいだ。

「…相沢さんと結婚してみます。」

結婚してみませんか？の問いに、結婚してみます、と答えた。軽いノリみたいな受け答え…。まぁ私達らしくていいかも。

「ありがとう、恋ちゃん。これだけは約束するから…絶対、恋ちゃんを幸せにする。」

私の返事を聞いた相沢さんは優しい笑みを浮かべながら立ち上がり、私の隣に来た。

「ねぇ…キスしていい？」

「…はい。」

改めてキス宣言をされるとなんか恥ずかしい…が、私は眼鏡を外し彼の顔をじぃっと見た。

そして、彼との初めてのキス…。

唇が触れ5秒くらい経つと、彼の唇が私の唇から離れ、その至近距離のまま、彼は笑顔で言った。

「…誓いのキス。これからよろしくね。」

私の中に久しく忘れていた胸のドキドキ感が現れた。

ねぇ、私は今…どんな表情(かお)してますか？