結婚してみませんか?
「詳しくは会った時に話す。相手は…お母さんも知ってる人だから。じゃあ時間作ってね。」

「あっちょっと、恋!」

私は半ば強引に電話を切ると、フゥッと一息ついて、ソファに置いてあるクッションをギュッと抱きしめながら、一言呟いた。

「結婚…か。」

それから数日後、母から時間を作ったから早く結婚相手に会わせなさい、と連絡がきた。

早速、相沢さんに報告する。

「…というわけで、今週の日曜日に母に会って頂いてよろしいですか?」

「オッケー。ちなみに結婚相手が俺って事、編集長は知ってる?」

「いいえ。相手は母の知ってる人、としか伝えてないです。」

「相手が俺って言ってあるなら、会社でも挨拶しとこうと思ったけど知らないんだ。じゃあ、当日まで内緒にしとこうかな。」

相沢さんはニヤッと悪戯っ子のような表情をしている。何か楽しそうだ。


ーー そして、日曜日

「それでは行きますか。」

初めて見るスーツ姿の相沢さん。普段仕事の時もラフな服装をしているので、スーツを着てキチッとするのは何だか照れると言っていた。でもスーツも良く似合っている。

私は普段より少しだけ良い服を選んで着たけど、化粧もナチュラルで眼鏡をして、然程いつもと変わらない。

母から母の住むマンションへ相手を連れて来るように言われているので、相沢さんの車でマンションへ向かった。

「やっぱり緊張するね。」

相沢さんは運転しながらソワソワしてるみたいだ。

そしてあっという間に母のマンションへ到着した。

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