結婚してみませんか？

出逢いは突然やってくる

「恋ちゃん、お願い。」

「断固お断りします。」

昼休み、晴れた日は会社近くの公園で自分で作ってきたお弁当を食べる。私に話しかけてきたのは、会社の同期で友人の『田辺(たなべ) 詩織(しおり)』。茶髪のゆるふわなボブヘアー、小柄で可愛らしくてほんわかしている彼女。癒し系と言う言葉がぴったりだ。そんな彼女も時々私と一緒にこの公園で昼食をとっている。

「そんな事言わないで、ね？お願い。」

「絶対に嫌。」

私は手作り弁当を食べながら、彼女の頼み事を断り続ける。

何故なら、この頼み事は合コンの誘いだからだ。なんでも数合わせの為に私を誘っているみたいだけど、冗談じゃない。

「この合コンに運命の出逢いがあるかもよ？」

「興味ない。」

「あーあ、やっぱりダメかぁ。恋ちゃんと一緒に行きたかったのに。」

私の揺るがぬ意思に観念したのか、詩織は誘うのを諦めた。

「それにしても恋ちゃんのお弁当、相変わらず美味しいそう。」

「どうぞ。」

「いいの？じゃあ…卵焼き貰っちゃお。」

詩織は買ってきたサンドウィッチを置き、私の差し出したお弁当から卵焼きを選び、パクッと食べた。

「美味しい〜。お料理上手の恋ちゃんは良い奥さんになるね。」

「結婚する予定はないけどね。」

「出逢いなんていつあるか分からないよ？だから…合コン…。」

「行きません。」

「えへへ、今回は諦めるけど、また今度誘うからね。」

詩織はにこりと微笑んで、サンドウィッチを食べ始めた。