結婚してみませんか?
「でも、悠人がどうかしたんですか?恋ちゃんが元気ないのと関係が?」

「いや、ちょっと気になっただけ。そろそろ出ようか。」

笑顔でごまかし、カフェを出て歩き出す。ボーっと考え事をしながらスタスタ歩いた。

「あっごめん。歩くの早かったよね。」

ふと我に返って立ち止まりクルッと振り返ると、少し離れたところを歩く詩織さんに声をかけた。

詩織さんはすみませんと言いながら、慌てて俺の元へ小走りで駆け寄る。

「わわっ…。」

ヒールを履いていた詩織さんは、走った拍子にバランスを崩し転びそうになった。

「大丈夫?」

間一髪間に合い、正面から詩織さんを支える。詩織さんも俺にしがみつき、転倒は免れた。

「すみません…あれ?恋ちゃん。」

「恋ちゃん?」

詩織さんの視線の先を見ると、恋ちゃんがいた。そしてその隣には…笹倉さんがいる。

「密会中ですか?相沢君。」

抱き合っているような体勢の俺と詩織さんを見て、笹倉さんが話しかけてきた。

そして、詩織さんはパッと俺から離れる。

「そんなんじゃないですよ。笹倉さんこそ、何で恋ちゃんと一緒なんですか?」

俺は笹倉さんの前に立ち、睨みつけるように質問する。完全に喧嘩腰だ。

「別にただ恋さんを駅まで送ってる最中ですよ。」

「母に用事があってさっきまで会ってました。今はその帰りです。」

笹倉さんの後に続いて恋ちゃんが話し始めた。

「お邪魔なようですし、俺たちはこれで失礼するよ。行きましょう、恋さん。」

笹倉さんは俺に見せつけるかのように、恋ちゃんの手を引き歩き出す。恋ちゃんは切なそうな表情で俺を見つめていたが、何も言わずにそのまま笹倉さんと歩き始めた。

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