結婚してみませんか?
気持ちの変化(恋ver)
「今日で3日目…。」

私は鳴らない携帯を眺めながら呟いた。

詩織と会っていたあの日から智章さんが家に帰ってこないのだ。

次の日、詩織と会社で会った時に智章さんとは何もやましい事はないから誤解しないでって言ってた。

心配してこっそりと母に聞いたら、仕事にはちゃんと来ているらしいので、恐らく私のいるこの家に帰りたくないのだろう。

私、何か気に触る事をしたのかな?

2人で行った旅行以降、何だか気不味い空気が流れて、日に日にそれが悪化しているような気がする。

旅行を思い出してみるが、思い当たるのは…あの抱かれた夜の事だけだ。

智章さんは私を抱くつもりなんかなかったのに、私が無理にお願いしたから嫌気がさしたのかな。

それとも…

私はあの旅行で行おうと思っていたミッションが1つあった。

それは、もう1つの私の素顔を見せる事。いつもの地味子も私の素顔だが、もう1つ私には誰にも見せてない素顔がある。

地味子を捨てた私。目立つのが嫌で地味に装い、いつしか地味子が本当の私になりそれが心地良くなっていた。でも、智章さんと出会い一緒にいるうちに、彼に相応しい女性になりたいと思うようになった。

オシャレして智章さんの隣に居たい…私はファッション誌に載っているような新しく服を買った。その服に合わせて髪型も化粧もちゃんとしようと思って準備した。

結果、その姿を智章さんの前で披露する事は無かったのだけど…。

仕事柄、智章さんの周りには華やかな女性が多い。見た目も性格も地味な私に嫌気がさしたのかもしれない。

それでも、智章さんが私に向ける笑顔を私は信じていた。

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