結婚してみませんか?
「うわぁ、ひどい顔。」

一晩泣き明かし、気づけば朝になっていた。洗面台の鏡で自分の顔を見ながら呟く。

赤く腫れ上がった目に、目の下のクマ。取り敢えず目を冷やし、後は化粧と眼鏡で目立たないように誤魔化すと、仕事に向かった。

本当は仕事なんてする気分じゃないけど、流石に失恋したってだけで仕事を休む訳にはいけない。

「恋ちゃん、おはよう。」

会社に着くと、先に出社していた詩織が声をかけてきた。

「おはよう。」

「…なんか恋ちゃん、顔色悪いよ?具合悪い?」

詩織は心配そうに私の顔を覗き込んでくる。

「そう?少し寝不足だからかな。全然大丈夫よ。」

「大丈夫ならいいんだけど…。相沢さんと仲直りできた?」

「…うん、心配しないで。私コーヒー飲んでくる。」

智章さんとの結婚が解消された事、私の口からはまだ言えない。

私は席から立ち上がり、気分転換に給湯室へコーヒーを入れに行こうとした。

「…あれ?」

立ち上がった瞬間、何だか頭がクラっとして、そのまま私の目の前が真っ暗になった。

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